早川マップを勘で書いたことは、定性的研究では科学的である。




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単純に、早川由紀夫さんに対する批判の中で気になったものを一つ考察したいと思います。
その中で、勘は科学的かどうかです。

結論から言うと、研究している分野があります。
イノベーションの分野で極めて重要であり、注目を集めている分野でもあります。

早川由紀夫さんは、放射性物質の拡散MAPを作ったことが有名です。
左側が早川氏作成のMAP,右側が航空機モニタリングMAPなどを基に国が指定した地域です。

国がSPEEDIや放射能汚染を隠蔽する中で、早い時期に、核汚染を明らかにしたことで、多数の人の飲食物からの内部被曝を防ぐことに繋がるとともに、核汚染の問題を社会問題として認知させることに成功しました



6月18日地図と12月19日政府発表の比較




早川氏について興味のある方は、ブログをご覧下さい。

彼の考え方などに興味のある方は、IWJのアーカイブをご覧下さい。
文字お越しをみんな楽しくHappy♡がいい♪さんがされていますので、興味のある方はどうぞ。

【完全版再配信】群馬大学早川由紀夫教授の訓告処分を受けての記者会見 



私が、気になったのは、早川由紀夫さんが早川マップを勘で書いたという趣旨の発言をされたことに批判があることです。

では、勘という言葉が科学的ではないのかと言うと、そうではありません。実際に研究があるので紹介します。


定性的研究と定量的研究の違いについて 興味がある方は、ご覧下さい。

定性的な研究では、勘(ヒューリスティクス)というものに注目されています。



定性的研究


定性的研究(ていせいてきけんきゅう、qualitative research質的調査)は、対象の質的な側面に注目した研究。そこで扱われるデータは定性データと呼ばれる。対象の量的な側面に注目した定量的研究と対を成す概念である。

定性的研究とは、インタビュー観察結果、文書や映像、歴史的記録などの質的データ定性的データ)を得るために、社会学社会心理学文化人類学などで用いられる方法である。狭義の調査だけでなく、実験観察インタビューエスノメソドロジー、文書や映像の内容分析 (content analysis)、会話分析、住み込んでの参与観察 (participant observation)、各種のフィールドワークなど、多様な手法を用いた調査方法を指す概念である。

心理学 [編集]

心理学におけるヒューリスティックは、人が複雑な問題解決等のために何らかの意思決定を行う際、暗黙のうちに用いている簡便な解法や法則のことを指す。判断に至る時間は早いが、必ずしもそれが正しいわけではなく、判断結果に一定の偏り(バイアス)を含んでいることが多い。ヒューリスティックの使用によって生まれている認識上の偏りを、認知バイアスと呼ぶ。


勘(ヒューリスティクス)が重要視されるのかと言うと、創業者や研究者が新しい分野を開拓・成功した際に「勘」という表現がよく現れています。

定性的研究では、この勘(ヒューリスティクス)が生まれる背景を、彼らの過去の行動・学習・組織などから解き明かそうとしています。


では、彼が実際に勘(ヒューリスティクス)を働かせる前提として早川氏の専門分野と実際に関連があるのかどうかを見てみたいと思います。

彼の専門分野を考えるために以下の2つの動画が参考になると思います。



(1)三宅島火山性ガスの拡散予測シミュレーション SPEEDI 3Dアニメーション







(2)福島第一原発周辺に飛散した沈着物分布の推定






(1)の動画は、本物のSPEEDIを用いて火山灰の拡散をシミュレーションしたものです。
腹立たしいですが、未だに隠しています

SPEEDIは放射性物質の予測に使われるイメージが強いですが、火山灰の予測にも使用可能であり、放射性物質の予想において、火山灰の拡散との共通性が理解できると思います。

(2)は、ホコリをばら撒いたとして作られたシミュレーションです。(動画1:10ご参照

日・時間によってばら撒かれる核汚染が違うので、群馬・岩手や東葛などの汚染が反映されていません(私は、この動画は別の意味で極めて有益であると考えています)。では、早川氏はどのように早川マップを作成、したのか。


文字お越しをみんな楽しくHappy♡がいい♪さん より引用

ああ、あのね、うーん、何で作ったんでしょうね。
4月の8日なんですよ。
4月の8日にネット見ていたら福島県のページで小学校、中学校、幼稚園の2000点ぐらいの放射線量何μシーベルトっていう表が出てた。
で、それ見てふぅ~んって思ってシャワー浴びて、シャワーで何時もいいアイデア浮かぶんで、「あ、できるじゃん」って思って、で、シャワー上がってから2時間で作った。
2時間でグーグルマップに全部点を落として、多分あの時ね2000,3000あったけども、各市町村から代表的な奴を一つ二つ選んで、60点ぐらい落としたんだと思う。

それで、中通りがひどい汚染だという事が分かった。僕はあの時めまいがした。
それで、これどうしようかなと思ったけれど、まァ出すしかないなと思って出した。
世の中ひっくり返ると思って、恐ろしい気持ちで寝たら、朝、何も起きていなかった。



早川氏の言う、勘で2000,3000ある中から、60点を抽出しています。
一見すると、何でもないようですが、放射性物質と火山灰の拡散は、相似している点があり、早川氏の知見が活用されたと考えられます。

もう、すっごくドキドキして寝てた。それで、何も起きていなくて、それで4月9日。
4月9日になって何しようかなと思って、いろいろ見ていたら、それで、柏の汚染を知って、で、東葛が汚れているっていう話をずっとやって、福島放り投げて、柏の汚染をずっとやってた。
それでいろんな処が分かってきて、ま、福島はだからもう、国とかいろんな人がやるから大体僕もわかったし、中通りが汚染されているのがわかったから、福島以外がどうなっているのかをとっても知りたかった。
その時全く情報がなかった。非常に怖かった。
で、チェルノブイリを見ると何千キロっていう距離に結構な汚れですらも100キロ200キロ300キロいってるんですよ。
ですからどこが汚れてるんだか恐ろしくて怖くて、で、最初東葛が汚れているというのが分かって、いっぱい色々と、なんとなく色々と作戦を立てて、みなさんに測ってもらえるように仕向けてだんだんとわかってきて、で、いっぱいデータが溜まって、6月の18日かな、6月18日に改訂版を出した。この改訂版が優れている。
今自分が見てもほれぼれとする。6月18日の改訂版がね、僕のマップの中で一番すぐれている。あのマップはね、あれはとにかく東葛も書いたし、群馬も書いたし、一関まで書いた。一関が分かったのが6月の15日ぐらいですね。
3日後に出した。あれはほとんど、今の現状の汚染をあれはほとんど表している。
で、ひと段落ついた感じで、あとは、どんどんなおして、今回、今なおしている最中のも随分と大きく変わったところがありますが、基本は6月に出たものです。
それは4月の8日9日。8日に福島マップを作って、9日に柏をして金町もして東葛が汚染されているとおもって、で、どんどん地図を作っていって、結局初版を出したのが4月の18日かな、20日ぐらいですよね。
初版は、まぁ粗末なものでした。
で、それが武田さんの目にとまって、誰かが、読者から、「柏は測定誤差ですよ」みたいなことを武田さんが書いて、武田さんにも見放されて、「だめだなー」って思って、で、5月の連休は気晴らしで遠くへ行ってた、っていう感じ。
そうやって心の中で新しい情報が発酵していく訳ですよね。
自分と、その新しい情報と対峙の仕方が決まっていく訳ですよ、数日、1週間2週間で。で、それが5月の6日。
わたしはその時に、深刻だと思って、「これはもう、これについて徹底的にやらなければいけない」と、決心したわけです。
早川氏自身が、他人の情報を元に一度、東葛地域の掲載を断念。
彼自身が考えを熟成、彼の勘に基づいて、東葛地域の汚染を明らかにしていることが分かります。

そして、何よりも早川マップの作成による、放射性物質拡散の問題が社会問題として認識させることを加速することに成功しています。

速報性が重要視された中で、正確性も再現されていたことは、明らかであると思います。

【おまけ】
エンジニア・研究者・その卵、組織デザインを行う方に是非読んで欲しい点

多分、勘という表現を批判している方は、ご存知なかったのかなぁと思います。

興味のある方は、技術経営論の説明をご覧下さい。

この勘(ヒューリスティクス)が重要視される背景には、世界的にイノベーションが注目を集めていることがあります。


イノベーション



イノベーション(innovation)とは、物事の「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。新しい技術発明だけではなく、新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革である。つまり、それまでのモノ、仕組みなどに対して、全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことを指す。


イノベーションと言う言葉ではなく、技術革新という用語で聞いた事がある方もいるのではないでしょうか(私は、技術革新よりも中国語の、技術創新のほうが意味が正しいと考えています)。

早川氏が早川マップを作ったことも、その一つに当たります。
そして、注目すべきは、原子力マフィアの御用学者が一歩も太刀打ちできなかった点です。

有名な例で言えば、アップル社のスティーブ・ジョブスをあげることができると思います(飛躍しすぎかもしれないですが)。
彼自身、天才ですが、大学生の時に寄り道をして、デザインの学習を行っています。

真面目に大学だけを言っているだけでは、スティーブ・ジョブズのデザインへのこだわりは弱く、あれだけスタイリッシュな数々の製品・サービスの結合は生まれていなかったかもしれません。

スティーブ・ジョブズ 日本語で学ぶ伝説のスピーチ(字幕)






最後になりますが、なぜ私は早川氏に対する批判を残念に他ならないと思うか。

それは、勘(ヒューリスティクス)の重要性を認識されていないと感じられたからです。

エンジニア・研究者・その卵は是非、専門性の応用、組織デザインを行う方はそれがイノベーションを行うに当たって重要であることを認識して頂きたいと思います。

専門に拘らないことを社会、組織が許容すべきであると考えます。



何たって、専門に拘った御用学者や無能さが、破局的な事故で次々と明らかになり拡大しているのですから。


お金も貰っており、倫理面でも崩壊していますよね。



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