日米政府・防衛産業の武器輸出三原則緩和の考え方について



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日本の武器輸出三原則の緩和が決まりました。 少し古いですが、日米政府・日米防衛産業の中心企業の考え方について抜粋したいと思います。
長々とありますが、結論から言うと、武器輸出三原則の緩和がミサイル防衛計画を中心に検討されており(オバマ大統領の方針)、ミサイル防衛計画を中心に、その技術レベルの高さから、かなりの確率で日本製部品の武器が世界中で出回る可能性があります(既に輸出能力あり)。


私見では、まずもって国民が議論する必要があり、レームダックの野田内閣が突然に決めるのは筋違いであると考えています。


■一部抜粋(全文は、文末PDF参照)




 パネルディスカッション ・司会者からのこの質問に対して、日本のパネリストは、日本製の両用技術の中には、軍事システムに使用することのできるものもあるが、日本企業はそれを防衛技術とは考えていないし、その技術レベルの高さの持つ価値を認識していないと指摘した。


・また、別のパネリストは、日本企業は防衛装備品に使用できる最先端の民生用技術を持っておりアメリカの企業もヨーロッパの企業も日本と協力することを切望していると論じた。 ・ 防衛取引に対するアレルギーの治療薬としては、日本のメディアにもっと幅広く防衛取引について報道してもらうことだとの指摘がなされた。







(1)西山淳一氏(三菱重工業航空宇宙事業本部)
・日本には、防衛装備品の国際共同開発に参加する技術的能力はあると考える。例えば、日本の防衛産業は、Patriot ミサイル・システムの構成部品をアメリカに輸出できる生産能力を有している
  ・武器輸出三原則に縛られている間に、貴重な国際共同生産への参加の機会を逃す可能性があるし、実際そのような事例も存在した。アメリカがアラブ首長国連邦に Patriot ミサイル
・システムの輸出を開始する際、日本の部品、構成品を調達したいとの申し入れがあったにもかかわらず、日本が決断を躊躇している間に、オランダ、ギリシャから調達することになった。









(2)増田義一氏(防衛省経理装備局装備政策課長)
・その後、現在に至るまで武器輸出三原則等は基本的に継続されてきたが、同時に政府は特定の施策を実行するために、順次例外化措置を行ってきた。その中で、本日のテーマである「日米同盟」という観点から重要な例外化事例を三点紹介した
・(管理人、一部編集)
1)第一は、1983 年の対米武器技術供与に係る例外化で、これにより日本から同盟国であるアメリカに対しては、武器輸出三原則等によらず武器技術の供与が可能になった。(中略)なぜなら、この例外化によって、平和国家として日本は国際紛争を助長することを回避するということが武器輸出三原則の理念であるが、例えば、仮にアメリカが紛争当事国となった場合でも、日本も紛争当事国とみなされる可能性がある。
  2) 第二の例外として、2004 年、日本政府は弾道ミサイル防衛システムに関する案件について、(中略)日本からアメリカへの単なる技術の移転か ら、日米共同開発生産にまで枠組みが広がったという点で、この例外化は画期的な決定だった。
  3)第三は、1996 年に締結され、その後 1998 年と 2004 年に改定された「日・米物品役務相互提供協定(ACSA)」に関する例外化である。








(3)ジェフリー・ブルーム氏(米国防副長官室[技術 兵站担当]ジャパン・デスク) 「米国の立場から見た日本の防衛産業政策」
・まず、日本の防衛産業基盤に対するアメリカの利害から述べたい。そもそも米国防総省は、防衛産業基盤を国内だけにとどまらず、世界的なものと捉えている。米国防総省は、また、日本をはじめとする同盟国に十分な防衛力を提供してもらわなければならない。有能な同盟国であるためには、効率的な防衛産業基盤を維持し、これにより自国を守るとともに、世界的な共通の利害を追求することが求められる。
・一方で、二国間協力や多国間協力を進展させるには、大きな課題も存在する。その一つが武器輸出三原則であり、これが日本の防衛産業の企業活動を抑制している
バラク・オバマ大統領が発表した新しい方針の下では、アメリカはおそらく SM-3(Block II-A)を他国に移転することになるだろう。この発表に先立って、直ちに調達するとは限らないけれども、フランスのような同盟国から、SM-3 に関する強い関心が示された。






(4)マーク・ステイプルス氏(米ロッキード・マーティン社 副社長) 「米国の立場から見た日本の防衛調達方針」
・したがって、日本は産業競争力を維持するために、また、自衛隊により高い能力を提供するために、防衛産業を再編する必要がある。
・つまり、費用対効果を得るためには、日本は通信・情報技術分野で、かなり以前から共通の世界標準を採用しているより多くの国々と、協力しなければならないということを示唆している。 ・第二の点として、日本の新政府が調達に関する法を見直し、複数年度調達を検討しているという報告書を読んだが、これは素晴らしいことだと思う。
 ・オープン・アーキテクチュアの利点を理解して、日米両政府はイージス型の弾道ミサイル防衛(BMD)のオープン・アーキテクチュア分野(BMDOAR)での共同研究を支援している。日本にある BMDOAR の研究施設は、日米両政府が次世代の防衛技術で、いかに協力できるかを示すものだ。
・最近、オバマ米大統領は、海上型、陸上型のイージス艦および SM-3(Aegis Ashore)で、ヨーロッパと NATO 加盟国を守ることを発表したが、これにより、日本政府は共同で開発した SM-3(Block II-A)ミサイルを最終的にヨーロッパに配備することを求められることになるだろう。そのためには武器輸出三原則の見直しが必要になる。



RIPS 2009「防衛産業 と日米同盟 」 2009年10月8日 (財)平和 ・安全保障研究所




記事、引用 ==============================================


政府は27日午前、安全保障会議(議長・野田佳彦首相)を開き、武器輸出三原則に基づく事実上の禁輸政策を大幅に緩和し、国際共同開発・生産への参加と人道目的での装備品供与を解禁する新たな基準を了承した。藤村修官房長官が談話を発表する。1967年に佐藤内閣が国会答弁で武器輸出三原則を表明して以来、抜本的な緩和は初めて。 政府は、国際紛争の助長を回避する「三原則」の精神は堅持するとしているが、主要装備品は国際共同開発が主流となっており、憲法の掲げる平和国家の理念を骨抜きにしかねない。見直しに向けて関係閣僚が議論を尽くさず、拙速との批判も出そうだ。



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