2012年度中に核燃料サイクルが止まれば、12年度中に東海原発と玄海原発は、運転不能になるという試算がある。




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事実上、核燃料サイクルは破綻しているわけですので、早く止めて欲しいですね。

政治家は、核燃料サイクルと最終処分場の問題をどう考えているのでしょうか?


例えば、河野議員(神奈川)は、核燃料サイクル反対で、原発は段階的廃炉と言っています。

これは、現状、不可能です。なぜなら、核燃料サイクルを止める(使用済み核燃料の再処理をやめると決定した)時点で、使用済み核燃料は六ヶ所村に留めおけないからです。

使用済み燃料の再処理が滞った時点で、原発に戻されることになっていますが、中間貯蔵施設はまだ、どこにもできていません。

どう対処するのか聞いてみたいものですね。



2012年4月23日
 原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理を中止し、日本原燃の六ケ所再処理工場に保管中の燃料を発生元に返した場合、大半の原発で燃料の収容力を超え、運転ができなくなるとの試算を、国の原子力委員会が22日までにまとめた。

 本年度中に返せば東海第2原発(茨城県、1基)と玄海原発(佐賀県、4基)などは停止、2015年度末には全国50基のうち39基が運転不能となる。

(中略)

 日本はプルトニウムを利用する核燃料サイクルを採用してきたが、政策転換を求める声も強まっている。本県は再処理が中止となった場合、保管中の燃料の最終処分場となる事態を懸念、原燃との覚書に基づき三村申吾知事は燃料を返送させる姿勢を示している。

 原子力委は、12年度中に燃料が送り返され、全原発が再稼働すると仮定し、影響を調べた。

 全国の原発の使用済み燃料プールなどの収容力は計約2万600トン。東海第2原発は84%、玄海原発は78%が埋まっており、燃料返送ですぐに運転不能になる。他に柏崎刈羽原発(新潟県、7基)、福井県内の関西電力の11基などが15年度末までに停止。20年度末に運転可能なのは泊原発(北海道、3基)など8基、25年度末は東通原発(1基)だけで、26年度末にゼロになる。

 中間貯蔵施設はむつ市に初の施設が建設中。各地の原発でのプール増設は地元の意向もあり、容易ではない。





2012年04月15日日曜日

使用済み核燃料の搬出について記された覚書の写し
 福島第1原発事故を受けて進められている国の原子力政策大綱の見直し論議で、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の本格操業を5年間遅らせることが検討されている。議論の主題は再処理路線を続けるのかどうかだが、その判断を「留保」して5年後に先送りしようという案だ。ただ、県と村は操業ができない場合、使用済み核燃料を運び出すよう求める覚書を過去に事業者の日本原燃と交わしており、路線変更はもちろん、留保といえども簡単には決定できそうにない。

◎時間稼ぎが利点

 議論しているのは、国の原子力委員会の「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」。原子力委事務局は12日、留保の利点として(1)原子力をめぐる現在の不確実な状態を脱却してから判断できる(2)再処理路線を変更する場合も課題解決の時間を稼げる-などを小委に示した。
 ただ、留保の選択には不都合な点もある。再処理が5年間行われずに既存の原発の多くが稼働したとすれば、使用済み核燃料は2030年時点で約4000トン増加。25年ごろには全国の原発と再処理工場にある貯蔵施設の容量を上回り、行き場を失う使用済み核燃料が出てきてしまう。
 県と村、原燃が結んだ1998年の覚書も「縛り」となる。「再処理事業の確実な実施が困難となった場合、使用済み核燃料の施設外への搬出も含め、措置を講じる」とあり、3000トン近くに上る使用済み核燃料が搬出元の原発に戻され、25年よりずっと早く深刻な事態に陥ることになる。

◎知事 強硬に主張

 青森県は「留保の具体的な内容が定まっていないので、現状では何とも言えない」(原子力立地対策課)としているが、三村申吾知事は小委の上部会議で「再処理が国の基本方針だから使用済み核燃料を受け入れてきた」と強硬に主張。再処理路線の変更につながりかねないとして、留保でも返還を求める可能性も否定できない。
 原子力委事務局は、覚書に即座に搬出するとは書いていないことをとらえ、「青森県が搬出を求めても、覚書の解釈の問題になる」との立場を示している。19日の次回小委でも留保の議論を続ける方針だ。

上記の記事だけでは、少し分かりにくいです。
分かりやすく経緯をまとめたものがあったので紹介。

元々、継ぎ接ぎだらけで、政策が行われてきたということがよく分かります。
青森県六ヶ所村は、使用済み核燃料の保管対策も兼ねていることが明らかですね。

第4章フン詰まりの原発と中間貯蔵 予備


§1 使用済み燃料プールは満杯


もともと原発の使用済み燃料プールは、再処理工場への搬出までの一時的な貯蔵が考えられていました。イギリスとフランスの再処理工場へせっせと搬出しつづけている間は、なんとかやってこれたのです。ところが、英・仏との契約量を運んでしまったために運び出す先がなくなり、各地の原発で、使用済み燃料プールが満杯に近づいてきました。


古くから使いはじめ容量の少ない1号炉用のプールの満杯問題に対処するため、2号炉以下のプールと共有化して使うという苦し紛れの方策が、大飯原発、敦賀原発などで行われています。


さらに、プールのなかでの核燃料の間隔を40センチから30センチに変更して、容量を一挙に1.7倍にアップしようというリラッキングも進められています。密集して貯蔵すれば、再臨界の危険性や耐震性などの安全面で余裕が少なくなってしまいます。


§2 六ケ所再処理工場への前倒し搬入


そこで、狙われたのが、青森県六ケ所村で建設中の再処理工場です。操業開始は2005年7月とされているものの、本体工事の進捗率はわずかに31%(1999年末)でしかありません。ところが、ウラン3000トン分の容量のプールだけが先に完成して、1998年10月に試験搬入が始まったのです。その直後、輸送容器のデータ改ざんが発覚して一時中断しましたが、1999年8月に第2回目の輸送が行われています。今後本格搬入のための安全協定が結ばれる予定です。


試験搬入に関する安全協定と同時に結ばれた覚書では「再処理事業の確実な実施が著しく困難になった場合は、県、六ケ所村と事業者が協議のうえ、事業者は施設外搬出も含めて速やかな措置をとる。」とされています。試験搬入の安全協定は結んでも、青森県自体が、「再処理工場は操業せず、使用済みの貯蔵、なしくずしの処分だけが進む」という疑念を捨てきれていない証でしょう。


§3 六ケ所再処理工場が稼働しても問題あり


しかし、仮に六ケ所再処理工場の稼動が順調に行われたとしても、問題が解決しないことは明らかです。使用済み燃料の年間発生量は現状でも900トンあり、原発が増えればそれだけ発生量も増えてしまいます。それに比べて、六ケ所再処理工場の年間処理能力は800トンしかなく、フル稼働することがあってもその年の発生量をカバーすることすらできないのです。


そこで、考えられたのが、原発以外のところに使用済み核燃料の貯蔵施設を設ける計画です。電力会社などは再処理までの40年間の「中間貯蔵」と言っていますが、発生量と再処理能力を考えれば、「中間」貯蔵が「永久」貯蔵になることは確実です。




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