(重要。酷すぎ)青森県六ヶ所村で再処理を行わないと、搬出元の原発に使用済み核燃料が戻される覚書がある。5年間再処理なしに原発再稼動すると、2025年よりずっと早く行き場を失う可能性あり。




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管理人、日本原燃と青森県の間で交わされた、この覚書は初めて知りました。

この文脈を理解していれば、日本全国に使用済み核燃料を分散させる話が浮上した意図も分かります。誰も責任とれない・とりたくですし、(政策というよりも)先送りでフン詰まりなのでしょう。


ちょっと長いですが、赤文字・マーカーの箇所だけでもご覧下さい。

簡単に、歴史的なまとめ。
(1)原発稼動。海外に契約量を超える量を搬出で、国内処理が必要に

(2)原発の使用済み核燃料プールがいっぱい

(3)2号機以降を建設で、使用済み核燃料プールを共用利用

(4)いっぱいになってきたので、使用済み核燃料の幅を狭める

(5)青森県六ヶ所村に再処理工場設置で、先に使用済み燃料を保管

(6)再処理施設フル稼働しても、処理できず。中間貯蔵施設を建設予定




問題点
○日本原燃と青森県で覚書がある

○六ヶ所村が再処理工場が再処理できない場合、六ヶ所村に保管している使用済み核燃料は全て元の原発に運び出される

○再処理を5年間行わず、原発を再稼動した場合、

○関西電力は、立地自治体(福井県)の中間貯蔵施設設置を検討から除外した経緯あり
(つまり、他の電力会社でも、原発立地自治体を外している可能性がある。)

上記の問題点を踏まえれば、福井県知事の発言や馬淵氏の発言(民主党・政府内で46都道府県で分散保管も検討されている)の整合性が理解できる。



2012年04月15日日曜日

使用済み核燃料の搬出について記された覚書の写し
 福島第1原発事故を受けて進められている国の原子力政策大綱の見直し論議で、使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の本格操業を5年間遅らせることが検討されている。議論の主題は再処理路線を続けるのかどうかだが、その判断を「留保」して5年後に先送りしようという案だ。ただ、県と村は操業ができない場合、使用済み核燃料を運び出すよう求める覚書を過去に事業者の日本原燃と交わしており、路線変更はもちろん、留保といえども簡単には決定できそうにない。

◎時間稼ぎが利点

 議論しているのは、国の原子力委員会の「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会」。原子力委事務局は12日、留保の利点として(1)原子力をめぐる現在の不確実な状態を脱却してから判断できる(2)再処理路線を変更する場合も課題解決の時間を稼げる-などを小委に示した。
 ただ、留保の選択には不都合な点もある。再処理が5年間行われずに既存の原発の多くが稼働したとすれば、使用済み核燃料は2030年時点で約4000トン増加。25年ごろには全国の原発と再処理工場にある貯蔵施設の容量を上回り、行き場を失う使用済み核燃料が出てきてしまう。
 県と村、原燃が結んだ1998年の覚書も「縛り」となる。「再処理事業の確実な実施が困難となった場合、使用済み核燃料の施設外への搬出も含め、措置を講じる」とあり、3000トン近くに上る使用済み核燃料が搬出元の原発に戻され、25年よりずっと早く深刻な事態に陥ることになる。

◎知事 強硬に主張

 青森県は「留保の具体的な内容が定まっていないので、現状では何とも言えない」(原子力立地対策課)としているが、三村申吾知事は小委の上部会議で「再処理が国の基本方針だから使用済み核燃料を受け入れてきた」と強硬に主張。再処理路線の変更につながりかねないとして、留保でも返還を求める可能性も否定できない。
 原子力委事務局は、覚書に即座に搬出するとは書いていないことをとらえ、「青森県が搬出を求めても、覚書の解釈の問題になる」との立場を示している。19日の次回小委でも留保の議論を続ける方針だ。

上記の記事だけでは、少し分かりにくいです。
分かりやすく経緯をまとめたものがあったので紹介。

元々、継ぎ接ぎだらけで、政策が行われてきたということがよく分かります。
青森県六ヶ所村は、使用済み核燃料の保管対策も兼ねていることが明らかですね。


第4章フン詰まりの原発と中間貯蔵 予備


§1 使用済み燃料プールは満杯


もともと原発の使用済み燃料プールは、再処理工場への搬出までの一時的な貯蔵が考えられていました。イギリスとフランスの再処理工場へせっせと搬出しつづけている間は、なんとかやってこれたのです。ところが、英・仏との契約量を運んでしまったために運び出す先がなくなり、各地の原発で、使用済み燃料プールが満杯に近づいてきました。


古くから使いはじめ容量の少ない1号炉用のプールの満杯問題に対処するため、2号炉以下のプールと共有化して使うという苦し紛れの方策が、大飯原発、敦賀原発などで行われています。


さらに、プールのなかでの核燃料の間隔を40センチから30センチに変更して、容量を一挙に1.7倍にアップしようというリラッキングも進められています。密集して貯蔵すれば、再臨界の危険性や耐震性などの安全面で余裕が少なくなってしまいます。


§2 六ケ所再処理工場への前倒し搬入


そこで、狙われたのが、青森県六ケ所村で建設中の再処理工場です。操業開始は2005年7月とされているものの、本体工事の進捗率はわずかに31%(1999年末)でしかありません。ところが、ウラン3000トン分の容量のプールだけが先に完成して、1998年10月に試験搬入が始まったのです。その直後、輸送容器のデータ改ざんが発覚して一時中断しましたが、1999年8月に第2回目の輸送が行われています。今後本格搬入のための安全協定が結ばれる予定です。


試験搬入に関する安全協定と同時に結ばれた覚書では「再処理事業の確実な実施が著しく困難になった場合は、県、六ケ所村と事業者が協議のうえ、事業者は施設外搬出も含めて速やかな措置をとる。」とされています。試験搬入の安全協定は結んでも、青森県自体が、「再処理工場は操業せず、使用済みの貯蔵、なしくずしの処分だけが進む」という疑念を捨てきれていない証でしょう。


§3 六ケ所再処理工場が稼働しても問題あり


しかし、仮に六ケ所再処理工場の稼動が順調に行われたとしても、問題が解決しないことは明らかです。使用済み燃料の年間発生量は現状でも900トンあり、原発が増えればそれだけ発生量も増えてしまいます。それに比べて、六ケ所再処理工場の年間処理能力は800トンしかなく、フル稼働することがあってもその年の発生量をカバーすることすらできないのです。


そこで、考えられたのが、原発以外のところに使用済み核燃料の貯蔵施設を設ける計画です。電力会社などは再処理までの40年間の「中間貯蔵」と言っていますが、発生量と再処理能力を考えれば、「中間」貯蔵が「永久」貯蔵になることは確実です。


関西で言えば、関西電力が中間貯蔵施設の建設予定地から、あえて福井県を外しているという記述があります。

これが福井県知事の発言に繋がっていきます。



§4 「中間」貯蔵の方法は? 場所は?


中間貯蔵の方法は、今まで原発で行われてきたのと同じプールでの湿式貯蔵と容器に入れて空冷させる乾式貯蔵の方式があります。


乾式貯蔵の容器は壁厚30~40cmで、二つの蓋で放射能を封じ込める仕組みです。放射能の熱を放熱するため、輸送容器と同じように、冷却用のフィンが付いていて、表面積が大きくなるようになっています。


貯蔵規模を仮に5千トン程度とすれば、5万~10万平方メートルの敷地が必要とされています。危険な使用済み燃料を原発から輸送するのですから、海上輸送のしやすい沿岸部が候補地とされているはずです。珠洲や久美浜など原発候補地とされてきたところも真先に狙われたはずです。


関西電力の秋山社長(当時)は、1998年7月の記者会見で、関電の電力供給エリアですでに10数カ所を候補地として選定、2000年度末までに立地場所を確定、2006年までに建設を開始すると方針を明らかにしています。原発が立地している福井県を、県の要望を受け候補地から外しているそうで、商業用原発がない地域で原子力関連施設を新規立地することになると当時の新聞は伝えています。


中間貯蔵施設のために原子炉等規制法は1999年に一部改正されましたが、この時の国会審議で村上東海村村長は「すでに電力会社から中間貯蔵施設建設の打診があった」と証言しています。関西電力エリアだけでなく全国的に、水面下で立地の工作が進んでいるものと思われます。


糞詰まりを起こしかけている原発の使用済み燃料を六ケ所であれ別の中間貯蔵施設であれ搬出することは、原発の延命につながります。使用済み燃料の処分という避けて通れない問題を先送りにして、問題をより困難にするだけでしょう。


福井県の西川一誠知事が、原発の使用済み核燃料は、関西に中間貯蔵施設を造る必要性があるとの認識を示した。既に民主党政府内では、46都道府県への分散保管も視野にいれている。

別トピックで紹介しましたが、福井県知事が当然のように、福井県外の関西でも中間貯蔵施設を造る必要があるという趣旨の発言をしています。

関西電力と福井県で話し合いを既に行っており、中間貯蔵施設の建設予定地を福井県から除外している点を踏まえると、福井県知事の発言に整合性がでてきます。つまり、交渉経緯を知っている当事者としては、中間貯蔵施設が福井県以外にもできるのは、当然であるという考え方です。



毎日新聞 2012年04月14日 22時36分(最終更新 04月14日 23時24分)

 福井県の西川一誠知事は14日、枝野幸男経済産業相との会談後の記者会見で、原発の使用済み燃料について「今後、福井県だけでは対応するわけにはいかないものもある。電力を消費してきた地域にも、痛みを分かち合う分担をお願いしないといけないと思う」と述べ、県内だけでなく関西に中間貯蔵施設を造る必要性があるとの認識を示した。
 使用済み燃料は現在、原発の一時貯蔵プールに置かれている。関西電力の場合、原発11基のプールの燃料貯蔵容量は9703体(4420トン)で、既に7割程度が埋まっいる。今後も関電だけで処理すると約7年でプールはいっぱいになる計算で、再稼働が実現しても使用済み燃料の処理が課題となる。【安藤大介】

一見すると、福井県知事がおかしなことを言っているように見えますが、既に、民主党政権内部や官僚達の間で、日本中で分散して保管する案が検討されています。


馬渕:一次提言は、結論を書いてはいません。あくまでも問題提起ですが、技術的にも、経済的にも核燃料サイクルはフィクションです。基本的に「立ち止まって考えるべき」だと思う。その時間を確保することが大切です。国際競争の観点からも、複数の政策を可能にする時間が必要です。なので、将来的なメドが立つまで、放射性廃棄物を、50~100年間くらい、責任をもって保管する体制に転換していきます。具体的には、使用済み核燃料については、その需要者(電力会社)と負担者(自治体)の公平性が保てる状況を築きながら、「ドライキャスク(乾式貯蔵容器)」で保管する。

 案1では、沖縄を除く各都道府県に一か所ずつ、この責任保管場所を設置することを原則としました。ただし、自治体間で合意があれば、ある自治体が他の自治体の保管すべき使用済み核燃料を引き受けることも認める、としています。

山岡:要するに46都道府県で使用済み燃料の保管負担をシェアするわけだ。原発の電力を使っている大都市圏の受益者も、それに応じて負担をしなさい、と。原則論としては明解ですが、各都道府県の現場は紛糾するでしょうね。政治がどうコミットできるのか。

馬淵:これは激論が交わされたところですが、実際にやるとなれば、大騒ぎになります。しかし避けては通れない議論です。自治体間取引も認めるとしていますから、お金で解決もアリなんですね。じゃあ、どういう権限で国が公的範囲の関わりを強化しながら、自治体間で、その取り決めしてもらうか。これは大変なことになります。案1というのはある意味、問題提起のど真ん中なんですね。


一連の流れを見ると、原発を引き受けた自治体は不動産商売をしているような感覚なのでしょうか?管理人が思うのは、立地自治体の供給責任という言葉についてです。一体、何のことでしょうか?

核燃料税・交付金の授受などや不透明な電力会社の寄付、地元首長の親族企業が工事指名受注など談合や贈賄など、汚い話に事欠きません。

使用済み核燃料の問題も片付いていないのに原発再稼働とは、どういう魂胆でしょうか?
福井県は、原発再稼働しなくても税収減らないように、条例改正しているのにせこいですね。



2012年2月15日 日経新聞1面 一部引用 


原子力発電所が立地する13道県のうち青森と福井を除く11道県が、稼動中の原発に課税する「核燃料税」を2012年度予算案に計上しない見通しであることが分かった。 一部の自治体は原発が停止中でも課税できる仕組みづくりを進めている。福井県は昨年11月に原子炉の熱出力に応じて核燃料税を徴収する全国初の条例を施行した。これによって同県は11年度当初予算の計上額と同規模の約60億円の税収が見込まれることとなった。 青森県も同様の条例案を昨年12月に可決し、4月にも施行する。  


13道県で当初予算428億円→264億円に。




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2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

FBでシェアできませんでした!
他は出来たのに何で?

port さんのコメント...

>匿名さん。
何でだろ???

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