東電の家庭向けから91%利益の反論。よく見ると、規制部門(家庭)は50%以上高い電気を購入、自由化部門(企業)の方が原発再稼働の恩恵が大きい。簡単な計算。




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東電は、利益の91%が家庭向けとした記事に反論しています。

管理人が見ていると、出せば分かりやすい数字があるのですが、販売単価など出していませんので、東電HPの数値を基に簡単に計算しました。

▲東京電力、利益の91%は家庭から!他電力会社も家庭向けがほとんど。経済産業省が発表。

管理人もこの報道気になっていたのですが、
下記が東電の反論。一見すると、なるほどと思うのですがふと考えると出していない数字があります。



記事では、東電は原発の停止・火力燃料費の増加と主張したいようです。

簡単に疑問が湧きます。どっちも利益が減るのではないの?と。
数字について検証しましょう。上記が、注目されている数字です。



平成24年5月23日 東京電力株式会社


 5月23日付朝日新聞1面、読売新聞2面、10面の記事において、当社が利益の9割を家庭向けなどの「規制部門」から稼いでいるとの記事が掲載されております。事実関係は以下のとおりです。
○規制部門と自由化部門の料金については、経済産業省令(一般電気事業供給約款料金算定規則)の原価配分ルールに従い、適切に算定しております。



<販売単価の欺瞞>

規制部門(家庭向け)

・電気事業収入 24,203億円
・販売電力量    1,095億KWh
・電気事業利益   1,394億円

電気事業収入÷販売電力量=22.10円/Kwh

自由化部門(企業向け)


・電気事業収入 25,409億円
・販売電力量    1,801億KWh
・電気事業利益     143億円


電気事業収入÷販売電力量=14.11円/Kwh

家庭のほうが高い 56.6%=家庭向け22.10円/Kwh÷14.11円/Kwhー1

やはり、企業向けの方が圧倒的に安いです。





○ここ数年における規制部門と自由化部門の利益を比べた場合、規制部門の方に大きく利益が偏っている傾向にあることから、原価配分の妥当性について一部疑念が呈されているところですが、両者の利益率が乖離している理由としましては、年度固有の特殊事情によるところが大きいものと考えております。 




<利益率を用いた欺瞞>

東電のもう1枚の図です。販売電力量・発電単価がないです。

ここでの欺瞞は、利益額でなく利益率に焦点を当てたことです。

どういうことかと言うと、販売電力量の記載がないので冒頭参照。

販売電力量 企業向け:家庭向け

となっています。ということは、当期純利益の数値も同様の数値にならないとおかしいということです。冒頭に述べたように家庭用の方が単価が高いのです。

販売電力量×単価×利益率=利益



○すなわち、新潟県中越沖地震以降の柏崎刈羽原子力発電所の全号機停止や燃料価格の歴史的高騰による火力燃料費の増加により、燃料費のウェイトが相対的に高い自由化部門の収支がより圧迫された一方、厳しい収支状況を乗り切るため、投資・修繕・諸経費といった固定費を中心としたコストダウンを徹底した結果、固定費のウェイトが相対的に高い規制部門の収支がより緩和され、収支に相応の差異が発生したものと考えております。

○右下の【過去の事例】にお示ししておりますように、料金値下げを行った平成18年度の利益率は均衡しておりましたが、平成19年7月の中越沖地震発生に起因して、その後、利益率が大きく乖離しております。


訂正後の収支に注目して下さい。
平成18年度→平成19年度の売上増加以上に、企業向けの利益が大幅に改善しています。

家庭向け)  559億円→1226億円  667億円改善
企業向け)▲684億円→1922億円 2606億円改善

柏崎刈羽停止に伴う、原発停止の影響は企業向けが圧倒的に大きかったのです。

東電が原発再稼働に賛同するのは、安価な電気料金の企業向けで、大赤字を避けるためです。原発再稼動に経団連が賛成が賛成する理由は、収支改善のために企業向けの値上げを防ぐことも理由のひとつです。

一般家庭の消費者が理不尽な扱いを受けている事がよく分かると思います。


規制部門(家庭向け)

18年度
・電気事業収入 23,080億円
・販売電力量      ?億KWh
・当期純利益     1,226億円

19年度

・電気事業収入 24,284億円
・販売電力量      ?億KWh
・当期純利益       559億円


19年度訂正後

・電気事業収入 24,284億円
・販売電力量      ?億KWh
・当期純利益     1,226億円


自由化部門(企業向け)



18年度
・電気事業収入 24,923億円
・販売電力量      ?億KWh
・当期純利益     1,307億円

19年度

・電気事業収入 24,284億円
・販売電力量      ?億KWh
・当期純利益     ▲684億円


19年度訂正後

・電気事業収入 24,284億円
・販売電力量      ?億KWh
・当期純利益     1,922億円






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