ドイツ太陽光発電フィードインタリフは原発52基分電力買取と発表 電事連の印象操作が簡単にわかる

ドイツは太陽光発電を中心に、フィードインタリフで5200万kW、原発52基分を再生可能エネルギー導入の目標にすると発表しました。そもそもフィードインタリフって何かという事を考えると、電事連の印象操作記事も簡単に分かります。

電事連の報道では、2016年でダメだと言っているのですが電事連の記事に出てる数字を用いても、数字が合わないので酷いですね。広報記事ですが、ソースなしで言うのはダメでしょうね。

▲グリッドパリティWiki
※縦軸のEuro/wp は、自然エネルギーに用いる単位で、ピーク時電力(▲ワットピークWiki)のことです。そのSysterm costなので、自然エネルギーのピーク時電力とコストを見ると太陽電池システムの価格が大幅に低下していることを表しています。量産効果と技術革新の成果でしょう。

まとめ

(1)買取の電力上限52GW 5200万kWで原発52基分

(2)ドイツの現在の太陽電池設置量は27GW。

(3)残り25GW(上記(1)52GW-(2)27GW)

(4)今後の年間目標導入量は3GW(別のものだと3.5GW)。

(5)(3)25GW(残り)÷(4)3GW(年間目標導入量)=8年以上(3.5GWなら7年以上)

(6)2020年までは掛かる予定だが((5)8年(7年)以上かかる)電事連は2016年、後4年で新規買取廃止と主張(電事連の記事内の数字でさえ合わない)

フィードインタリフ(固定買取制度とは)

そもそもフィードインタリフとは、太陽光発電の発電価格が、適切な値段になる(グリッドパリティ)までの補助金のことを表しています。
・フィードインタリフ(固定買取制度)は、再生利用可能エネルギーのコストがグリッドパリティに到達するまでの補助を目的としている。

・グリッドパリティとは(発電コストと電力小売価格が同等となること)

グリッドパリティに到達するとは

グリッドパリティ(Grid parity)とは、再生可能エネルギーによる発電コストが既存の電力のコスト(電力料金、発電コスト等)と同等かそれより安価になる点(コスト)を指す
フィードインタリフが廃止になることは、政府や、民間の補助がなくても、太陽光発電による発電コストが十分に対抗できるようになったことを意味します。つまり、太陽光発電事業が政府の補助なしに、育成されたという事を表す、喜ばしい事とも言えます。

ドイツ政府フィードインタリフを確定

ドイツ政府、フィードインタリフを確定

暗雲立ち込めていたドイツのフィードインタリフ(FIT固定買取制度)に明かり。メルケル政府は累設置量52GW(現在27GW)を上限とし、今後も年間2,500〜3,000 MWの設置を目指し、太陽電池産業の成長を維持すると発表。
▲ドイツで太陽光の発電量が原発20基分達成 フランスの政策失敗とスペインは需要の60%以上を風力で達成
 ただ、太陽光発電は従来の電力買い取り制度が、安価な中国製発電パネルに対抗する競争力向上を妨げている上、電力価格の上昇につながるとの指摘が政府内で噴出 
 メルケル首相は三月、太陽光発電への補助の大幅削減を連邦議会(下院)で可決させた。しかし、連邦参議院(上院)は、太陽光発電メーカーの破綻を招き、エネルギー転換が進まなくなるとの立場から削減を承認していない。
(1)産業の過保護に繋がり、産業育成上好ましくない

(2)太陽光発電買取による補助が、電力価格の上昇につながる

この2点についてゴタゴタしていたようですが、報道によると解決したようですね。

改正フィードインタリフの概要

○ドイツ連邦議会と連邦参議院の両院協議会で、上記点について合意成立

助成対象となる太陽光発電設備の拡張目標値を52GWに設定

○年間の目標導入ペースは2500-3500 MW(2.5GW~3.5GW)

○目標達成以降の新規設備は買取対象外(つまり、52GWまでは買取
発表日 | 2012.06.28 ドイツ連邦環境省

ドイツ連邦議会とドイツ連邦参議院の代表者によって構成される両院協議会において、再生可能エネルギー法改正案の太陽光発電の固定価格買取規定について、合意が成立した。連邦参議院は、ドイツ連邦議会において承認された再生可能エネルギー法改正案の審議を一時的に停止し、両院協議会を招集していた。合意内容は、同日付で連邦議会に送られる。6月29日の連邦参議院での審議後に連邦官報に公開され、2012年4月1日に遡り、施行される。主な合意内容は、以下の通り。

●買取対象の屋上設置設備に対する新たな出力区分として「10KW-40KW」を導入し、買取価格を18.5セント/kWhに設定。

●10KWまでの設備は例外として扱われるが、10KWから1000KW以内の設備では、年間発電量の90%が買取対象となる。2012年4月1日以降に操業開始した全設備に適用されるが、買取量の制限の開始は、2014年1月1日以降となる。

助成対象となる太陽光発電設備の拡張目標値を52GWに設定。年間の目標導入ペースは2500-3500 MW(2.5GW~3.5GW)となる。目標達成以降の新規設備は買取対象外となる。一方で、優先接続は、その後の新規設備にも保証される。

●買取対象となる平地設置設備の規模の制限は10MWが継続して採用される。一自治体における複数の設備の統合に関して、これまで周囲4kmと規定されていたが、2kmに変更される。

●連邦議会と連邦参議院の合意のもと、連邦政府に対し、転換地に設置される10MW以上の出力を持つ設備に対する買取導入に関する委任立法が加えられる。

●2月24日より前に系統に接続した屋上設置設備と3月1日より前に計画手続きを開始した平地設置設備に対する移行規定は不変更とする。

電事連の報道まとめ

注意すべき点

固定価格買取制度終了は、補助なしで採算が合う事であるがその事に触れず
(冒頭フィードインタリフについての説明をご参照)

○5200万kW→原発52基分であり、そもそも、とてつもない量である

○買い取り廃止→新規買取の廃止であり、5200万kWまでは継続

電事連の発表では数字が合わない

5200万kWの上限値には早ければ2016年にも達すると見込まれ、同年以降は新規の太陽光発電設備には買取制度は適用されなくなる(注:2012年第1四半期現在の導入量は2650万kW)。
○2016年に上限値→数字が合わない

・冒頭の(5)(3)25GW(残り)÷(4)3GW(年間目標導入量)=8年以上

・3.5GWとしても、25÷3.5=7年 買い取り上限は2019年

なぜか早く終わる事になっている

(1)2012~2013年が(250万~350万kW/年)
(2)2014年が210万~310万kW/年
(3)2015年が170万~270万kW/年
(4)2016年が130万~230万kW/年

【2012年~2016年の最大予測数値を採用】
(1)350+(2)310+(3)270+(4)230=1160万kW(11.6GW)<買取量の25GWに達していない

電事連の報道

▲ドイツ、累積導入5200万kWで太陽光の買い取りを廃止 電事連
2012年7月6日

太陽光発電買取制度を巡って対立していたドイツの連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)は2012年6月27日に開催された両院協議会において、太陽光発電買取価格の引き下げ、ならびに太陽光発電の累積設備容量が5200万kWに達した後は太陽光発電の買取を中止することなどを盛り込んだ修正法案に合意した。なお、過去に連系系統した設備については継続する。

5200万kWの上限値には早ければ2016年にも達すると見込まれ、同年以降は新規の太陽光発電設備には買取制度は適用されなくなる(注:2012年第1四半期現在の導入量は2650万kW)。

買取価格については、10~40kWの設備の価格は原案よりも高めに修正が図られ、一方で引き下げに関しては2012年4月1日に遡って実施される予定。先の連邦議会案に盛り込まれていた部分買取制度(各設備の発電電力量の9割のみを買取制度の対象とするという内容)は残されたものの、10kW以下の設備については、その対象から外されることになった。この修正法案は今後、連邦議会と連邦参議院での審議を経た後、夏期休暇前には成立する見込みである。
(注)再生可能エネルギー法改正案の内容(2/29 ドイツ連邦政府閣議決定)

1)2012年3月9日から太陽光発電の買取価格を20~29%引き下げる

2)2012年5月から太陽光発電買取価格を毎月0.15ユーロセント/kWh引き下げる

3)2012年3月9日以降に電力系統に連系する太陽光発電設備については、2013年1月1日から全量買い取りではなく、各設備の年間発電量の85~90%を買い取る部分買取制度を適用する

4)太陽光発電設備の導入目標を2012~2013年が250万~350万kW/年、2014年が210万~310万kW/年、2015年が170万~270万kW/年、2016年が130万~230万kW/年、2017年以降は90万~190万kW/年とする

5)導入目標から逸脱する場合は連邦環境省が省令によって買取価格を改定する

電事連の報道では、上記のように微妙なニュアンスについて全く触れられていないうえに、数字の根拠が不明ですしソースがないですね。記事内の数字を計算しても、計算が合わず何を元に2016年と言い切ったのでしょうか?(ご存知の方、教えて下さい。本当に分かりません。)

買い取り価格の下落について報道されていますが、冒頭にある通り、太陽光システムの価格自体も下落しており、発電のためのコストも低下しています。電力価格上乗せによる負担と合わせて判断しているのでしょう。

下記は、海外の現状です。気付けば、再生可能エネルギーの発電量で、日本は大きな遅れをとっています。各種問題はあれど、ドイツがエネルギー問題に注力している事が分かると思います。

海外の状況

ドイツ

▲ドイツで太陽光の発電量が原発20基分達成 フランスの政策失敗とスペインは需要の60%以上を風力で達成

ドイツの太陽光発電量が、5月25、26日に原発20基分に相当する過去最高の2200万キロワットを記録したことが、同国の再生可能エネルギー研究所(IWR)の調べで分かった。好天の影響だが、同研究所のアルノッホ所長は「過去にこれほどの太陽光発電をした国はない」と指摘している。欧米メディアが伝えた。 
同所長は、工場やオフィスが稼動した平日(25日)で電力需要の3分の1を、休みの土曜(26日)では、ほぼ半分を太陽光発電で賄えることが実証されたと強調した。エネルギー業界の 調査では、同国の昨年の発電量に占める太陽光の割合は約3%。

スペイン 

▲スペインの風力発電所の発電量が、2012年4月16日午前3時48分に、スペインの需要の60%以上を記録!発送電分離した国。
午前3時48分に、スペイン半島(イベリア半島?)の需要(21098 MW)のうち60.46パーセントを風力発電(12757 MW)の発電を記録しています。

フランス

▲フランスが電力供給逼迫。暖房機器の電化も指摘(オール電化アカンね)。ロイター翻訳
フランスは、今まで原子力発電に電気を頼っており、余った電気をドイツに売却したり、自国内での消費量を増加させるために、家庭の熱源を電気にかえるなど転換を政策で促してきていました。

暖房需要を、ガス暖房→エアコンにシフトしてきたことなどで、冬の急激な需要増加に対応できず、ドイツからの電気購入に頼る結果となっています。

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3 件のコメント:

通りがけ さんのコメント...

「ヒロシマの真上にオスプレイ」

オスプレイは搬入されました。あとは組み立てて隠してきたブラウンルートを飛ぶだけです。燃料費は日本の思いやり予算から捻出されます。オスプレイが飛び立って直線距離1キロメートル以内の空路直下にドラム缶3000本の劣化ウランがあります。先の工場爆発では10トン近くの鉄の塊が1キロメートル近く吹き飛ばされるという爆発の巨大な衝撃が運良くドラム缶を直撃せず劣化ウランに高熱を与えませんでしたが、オスプレイが工場に墜落すると今度はどうでしょうかね。
8月6日にはヒロシマへ劣化ウラン弾放射能被害を受けたイラクの子供たちもやってくると言うのに、ブラウンルートはその真上を飛ぶルートです。
ヒロシマはオスプレイの飛行を唯々諾々として受け入れるのであれば二度と平和都市などと名乗らないでほしいですね。日本人として恥ずかしい。

あやまちとは地位協定です。オスプレイを運び込んでも地位協定を破棄してやれば日本の領空を1センチも飛ぶことはできません。文句があるなら思いやり予算も停止凍結してやればよい。オスプレイと米軍がアメリカへ撤退するのなら燃料代だけは餞別代わりにくれてやってもよいけどねw

米軍を追い出したあとには自衛隊が入ればよい。日本人なら日本国憲法と日本国民を守ってくれるからねw

匿名 さんのコメント...

早ければ2016年にも達すると見込まれるといったのは、最大年7500MWで計算したんでしょう。ただその状況だと、既に10円台の買取価格を毎年29%引き下げるわけで、現実的ではありませんが。


基本逓減値は月1%となるが、太陽光発電設備導入量が目標値を上回った場合に変更され、最大で年7500MW導入された場合、逓減値は月2.8%または年29%となる。
http://www.eic.or.jp/news/?act=view&serial=27042&oversea=1

port さんのコメント...

>匿名さん。
数字のご指摘深謝。
今、頭働いていないので、明日もう一度拝見します(^^)

ありがとうございます(^^)

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