中小企業金融円滑化法2013年3月期限切れで被災地は風評と倒産ラッシュ

中小企業金融円滑化法2013年3月に期限切れとなりますが、被災地を中心に倒産ラッシュが予想されます。累計の融資規模が83兆円を超えており、その影響は極めて大きいです。風評による混乱が予想されると、元銀行頭取 永野さんの指摘もあります。

貸し出し条件緩和債権とは

④ 貸出条件緩和債権
 債務者の経営再建または支援を図ることを目的として、金利の減免、利息の支払猶予、元本の返済猶予、債権放棄その他の債務者に有利となる取決めを行った貸出金(破綻先債権、延滞債権および3カ月以上延滞債権に該当するものを除く)に該当する貸出金をいいます。

▲金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕 ←細かい点が興味ある方はどうぞ
金融円滑化法ができるまでは。

経営の悪化先、特に不良債権先など業績の悪い先に対して、融資条件を債務者側に有利にすることは原則禁じられていました。なぜなら、これを認めてしまうと金融機関の隠れ不良債権が多数生まれたるからです。

中小企業金融円滑化法がどういったことを行ったかというと、大甘にしたということですね。

円滑化法の法律概要


《「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」の通称》中小企業や住宅ローンの借り手が金融機関に返済負担の軽減を申し入れた際に、できる限り貸付条件の変更等を行うよう努めることなどを内容とする法律。平成20年(2008)秋以降の金融危機・景気低迷による中小企業の資金繰り悪化等への対応策として、平成21年(2009)12月に約2年間の時限立法として施行。期限を迎えても中小企業の業況・資金繰りは依然として厳しいことから、平成25年(2013)3月末まで延長された。中小企業等金融円滑化法。金融円滑化法。
つまりどういう事かと言うと。

一言で言えば、行政が業績の悪い先に対する、金融機関の債権回収の先送りを指導したということですね。下記の資料にでていますが莫大な件数になっています。

中小企業金融円滑化法の資料と膨大な適用件数

▲平成24年7月19日金融庁中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について(確報値) 平成24年7月19日 金融庁


中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について(確報値)

中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律(平成21年法律第96号。以下「法」という。)の対象となる金融機関は、法第8条の規定に基づき、法施行日(平成21年12月4日)から平成24年3月31日までの間に行った貸付条件の変更等の状況を(平成24年5月15日までに)行政庁に報告したところです。

今般、金融庁は、当該報告の概要(確報値)を以下のとおり取りまとめましたので、これを公表します。
法律に基づいて、その適用を受けた数を集計しましたという報告です。その内容が下記。中小企業向け融資で300万件以上 約80兆円、住宅ローンで25万件以上 約3兆1千億円が適用を受けている事が分かります。

中小企業円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況 数値

▲中小企業金融円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況について 別紙1

債務者が中小企業者である場合


債務者が住宅資金借り入れ者である場合


中小企業円滑化法に基づく貸付条件の変更等の状況 グラフ

中小企業向け 融資


住宅ローン向け 融資


既に企業業績は悪化している

▲金融円滑化法:期限控え資金需要…貸金業者「受け皿」に
毎日新聞 2012年08月02日 09時20分

 中小企業の融資の返済を猶予する中小企業金融円滑化法の期限が来年3月末に控える中、ノンバンクなどの貸金業者が融資や再生事業の拡大に力を入れ始めた。売掛金などを担保にした融資事業や地銀と提携して法人向け融資の保証事業を拡大している。同法の適用を受けた中小企業の倒産は増加傾向にあり、期限切れを前に資金繰りが悪化する事態も予想され、資金需要の新たな受け皿になりたい考えだ。
(中略)
平成24年の3月末に金融円滑化法が終了しますが、既に適用を受けた中小企業の倒産が増加傾向にあると報道されています。

今の所、特にそれに備えた緩和措置をとるかどうかの報道や、政治的な議論の盛り上がりに欠けているように思えます。影響があまりにも大きいため、もっと議論がすべきではないかと、管理人は考えていますが、政局重視で政治家もメディアも放置しているのでしょうか?

風評被害と混乱の恐れ 永野さんの指摘


tamugon(嫌東電)脱原発に70億票
(@Portirland)

2012/08/12 20:55:31
from SOICHA
答えられる範囲で結構ですが、橋本政権の消費税増税で、要管理先・破綻懸念先・実質破綻先や破綻先はかなり増加しましたか?
@naganokatumi いろんな国でいろんな犠牲者が出ている。そんな中で平和の筈の日本(cont) tl.gd/iq3t1f


永野勝美
(@naganokatumi)

2012/08/13 06:07:58
from web
@Portirland その通りです。あの時は減税もあったんですが、それでも消費はガタンと落ちました。しかも、あそこは危ない、ここもどうやら持ち応えられそうもないとか、いわゆる風評が飛び交いました。今度は金融円滑化法が来年3月で終わりですので更に深刻でしょう。


永野勝美
(@naganokatumi)

2012/08/13 14:55:51
from web
金融円滑化法は来年3月末で期限が切れる。もうすでに2回期限延長をしている。多分これ以上の期限延長は無理であろう。商工会議所に事務局を置いて審査し取引金融機関を通じ融資しているものだが、その8割強は計画通りに入っていない。この途が閉ざされれば倒産が急増してくる懸念がある。
永野勝美
(@naganokatumi)

2012/08/13 15:15:48
from web
大震災で被災した中小企業の2重ローン解消が進んでいない。鳴り物入りで発足した筈の債権買取機構が機能していない。2つの機構が併存しているのだが、2つ合わせて35件の取り扱いだ。債権の買取が融資額の半分であったり、町造りとか集団移転が見当もつかないのが大方の理由ではないか。

▲永野勝美Wiki
永野勝美(ながの かつみ、1935年(昭和10年)9月14日 - )は、日本の銀行家。岩手銀行特別常任相談役。2008年(平成20年)旭日小綬章。 
2001年(平成13年)、頭取  
●2007年(平成19年)、会長、盛岡商工会議所会頭

つぶやきまとめ 復興予算の無駄遣い

○金融円滑化法の解消により、風評悪化の可能性が極めて高い(冒頭参照。そもそも、貸し出し条件緩和債権にあたり、金融機関の目が厳格になることが予想される

○消費税増税時よりも、金融円滑化法の方が深刻な可能性が高い(累計で約83兆円が対象)

○被災地の2重ローン問題も解消が進んでいない

▲民主党政権の復興予算7兆円規模の予算余りが判明。特別会計が増殖、予算編成に失敗か2012/07/03

▲野田政権の税金無駄遣い消費税増税不要 復興予算でもんじゅや武器購入2012/08/07

予算が全くないかと言うと、上記のように余っています。全国的に大きな影響が予想されますが、特に東日本大震災の被災地については、少なくとも復興予算の余りを緩和措置に当てるなど、何らかの手法をとるべきではないかと、管理人は考えています。

金融円滑化法期限切れ倒産と住宅ローンにまとめましたが、何もしなければ10兆円規模の不良債権が懸念されるようですね。

関連記事・:


0 件のコメント:

最近の記事も是非どうぞ