福島原発事故原因は東電が無能 米国団体の批判が酷すぎる

東電本店に人員を派遣した米国団体が報告書を作成しています。福島原発事故原因について、様々な点が言及されています。一言で言えば、東電、ダメな点が多すぎですね。

内容は少し長いですが、管理人、指摘が多すぎて原発管理は、改めて無理と感じました。
先日の隠蔽しようとした、4号機の画像にしても、頭のいい印象は受けないですね。


(1)東京電力本店に人員を派遣

編集委員 滝順一 2012/9/20 7:00
 米国の原子力発電事業者が組織する原子力発電運転協会(INPO)は8月、「福島第1原子力発電所における原子力事故から得た教訓」と題した報告書を公表した。同協会は昨年3月の事故直後から東京電力本店に専門家を派遣し事故対応に協力してきた。
管理人が気になったのは、この協会が事故直後から東電本店に専門家を派遣したと報道されている点です。どういった団体かというと下記。

▲原子力発電運転協会
 1979年のTMI事故によってその必要性が明らかにされた、原子力発電所の安全性および信頼性達成のための支援組織として設立された。 
組織は3つの技術系本部の下にある7部門、産業界・政府との関係調整本部の下にある2部門および事務系2部門の計11部門により構成されている。 
会員である原子力発電所を運転・建設している米国の電力会社の他、原子炉メーカーや建設会社、さらには10か国以上の海外の電力関係機関も加入者となっている。
つまり、事故直後から、海外の団体が東電本店で事故対応を観察してたということですね。

(2)事故対応の準備ができていなかったと断定

 報告書は「東京電力と原子力産業界は福島第1で直面した極端な状況下で、重要な安全機能を維持し効果的な緊急時対応手順と事故管理計画を実行するための準備ができていなかったのは明白」と断定し、26項目の教訓を示した。
一言で言えば。
原発は安全であると言うのは、神話だったということですね。

(3)安全対策の見直しに失敗

 もっとも重要な教訓として挙げたのは、定期的なレビューや新しい知見に基づく安全対策の見直しだ。
もっとも重要な教訓に安全対策の見直しが言及されています。
具体的事例を用いて、失敗したと言及されています。

 貞観地震に関する新たな研究や、日本海溝沿いでマグニチュード8.2の地震が発生しうるという政府の地震調査研究推進本部の指摘などを受け、東京電力は社内で試算した結果、最高で15.7メートルの津波が福島第1を襲う可能性があることを2008年には認識していた。

 東電の上層部は試算を仮想的な前提に基づいたもので信頼性が低いと判断、全電源喪失をもたらす恐れのある浸水への対策強化を見送り、試算の妥当性の検証を土木学会に依頼した。この検証は2011年3月11日時点でまだ終わっていなかった。

 さらに東電は土木学会が社内試算と同様の結果を示した場合に備えて、2010年に10メートル超の巨大津波への対策を検討するグループを社内に設けた。事故時点ではこのグループによる対策づくりは完了していなかった。
簡単にまとめると下記の通り。

(1)2008年 15.7メートルの津波が原発を襲う可能性を認識

(2)2011年3月11日時点 安全対策強化を見送り、再検証も終了せず

(3)2011年3月11日時点 事故対策づくりは完了せず

(4)炉心冷却の維持に失敗

 INPO報告はまた、今回起きた炉心溶融事故への東電の対応から導き出せる教訓として「炉心冷却の維持の最優先」をあげた。東電の対策本部は冷却の状況にもっと注意を払い、消防ポンプなどによる代替冷却の進め方に関して明確な戦略をもって臨むべきだったと示唆する。
東電の対策本部が、明確な戦略をもっていなかったと批判しています。

 福島第1では「炉心冷却系の状況と制御に関する誤解が最初の数日の意思決定や優先順位付けに悪影響を与えたかもしれない」とした。例えば、現地の対策本部は1号機が非常用復水器(IC)によって冷却されているという誤った想定に基づいて、1号機に対し最も緊急に関心を払わねばならない時(3月11日夜)に2号機に多くの関心を払っていた。

 3号機では運転員が13日に高圧注水系(HPCI)を手動停止し、結果的に冷却手段を失い状況を悪化させた。このときHPCIは本来の運転すべき条件とは違う低回転で動かしており、運転員は故障を心配した。この判断は手順書には適合するものだった。しかし深刻な事故がおきて核燃料の崩壊熱除去が最優先される場合には「壊れるまで運転するという対応を検討することは重要」だったと報告は指摘する。ポンプを止める判断に現地対策本部の主要メンバーは関わっておらず、より大局的な観点から助言できる人間もいなかった。
福島第一原発の複数の原発がある中で、優先順位の間違いが指摘されています。

加えて、非常時にも関らず、通常の手順書が優先され、緊急時に助言できる人間がいなかった点があげられています。

(5)2、3号機のベント実施に失敗 理由は決断の遅れ

 東電は2、3号機で早くからベントを計画しながらも、なかなか実行できなかった。余震や1号機の水素爆発などで思うように作業が進まなかったことが大きいが、格納容器の圧力が高まるのを待っていた側面もありそうだ。この遅れが結果的に水素漏洩を許すとともに、消防ポンプなどの低圧系による代替注水を困難にした。
ベントの計画が実行できなかったと指摘されています。
その理由が下記。

(6)ベントによる放射性物質の漏洩は前提条件

 ゼネラル・エレクトリック(GE)が設計した米国生まれの原子炉であるにもかかわらず、ベントによる放射性物質の放出を嫌った日本の社会事情に合わせて運用しようとした。その点に根源的な誤りがあったとも受け取れる。

 INPO報告は21番目の教訓で、設計時とは異なる戦略を採用するにあたっては元々の標準的な考え方を確かめ、意図せざる結果が起きはしないかをよく考慮する必要があることを指摘し、日本流のベントのあり方を問題視している。
上記の内容で最も重要なのは、GEの原子炉の設計思想はベントが前提という点です。
つまり、何があっても安全と言うのは嘘です。

放射性物質の放出を行うのを避けた結果、最悪の事態を招いたとも解釈できます。
本当の緊急時に、緊急時用の対策をとろうとしなかったということですね。

(7)東電の組織・社員の能力不足

 原子力の安全文化の原則には「問いかける姿勢や仮定条件に疑いを持つ姿勢を養うことが含まれている」とINPOは指摘する。巨大津波が起こらないという前提に対し、東電社員が疑問を抱き問いかける姿勢を持っていれば事態は変わっていたかもしれない。
東電社員が無能であったということですね。

管理人は、個々ではなく会社の組織文化にも問題があると考えており、一度倒産させる必要があると考えています。

 また福島の事故では1号機の水位計が壊れて圧力容器内の正しい水位を示さなくなっていた。運転員らはこれに気がつかず冷却状態に関する判断を誤った。報告はシミュレーターを用いた運転員の教育訓練において、計測器が使えなかったり間違った数値を示したりする可能性を考慮するなど、より深いレベルで運転員らの能力を培う必要も指摘した。
現場の運転員が水位計の判断を誤った事について、計測器が使えない・間違った数値を示す可能性があることの教育訓練の重要性を指摘しています。

少し長くなりましたが、この報告書の指摘、あらゆる観点から指摘しています。
東京電力に、原発事故に対応できるだけの能力がないという事なのでしょうね。

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