日本触媒 爆発事故原因の真相 説明に嘘

日本触媒の姫路製作所で爆発事故が発生しましたが、その説明に嘘があるので紹介。アクリル酸の重合反応は、温度で促進されるとともに、重合反応で生まれる熱でさらに促進されます。

そのため、温度管理が重要になりますが、温度の監視体制で嘘をついています。


日本触媒 管制室で常に社員が温度監視と嘘

 同社によると、数十年前にタンク爆発事故が起きたことを受け、爆発の危険がある酸素濃度の比率を減らすため、窒素を投入したり、常に社員が管制室で温度を監視したりするなどの安全対策を進めてきた。
日本触媒ですが、管制室で温度を監視していたという部分が完全に嘘ですね。
後の報道で、タンクを目視で見てチェックとなっています。

爆発の1時間半前に異常に上昇となっていますが、その前に、いつ温度チェックを行っていたのかについて、日本触媒は公表すべきです。


管制室で温度は確認できなかった

▲タンク温度監視体制に不備か 姫路・日本触媒爆発事故

神戸新聞(2012/10/01 14:42)
 姫路市網干区興浜(おきのはま)の化学メーカー、日本触媒姫路製造所のタンクが爆発し、36人が死傷した事故で、タンク内の温度は、同製造所内の各設備の状態を確認する管制室では把握する体制になく、タンクに取り付けられている温度計の目視チェックだけだったことが1日、分かった。

管理人、この報道を見て絶望的な気持ちになりました。

現場が、温度を目視チェックであるのか、管制室で遠隔でチェックしているのか、事故後に嘘をついていたことになります。

事実上、温度上昇に気付くのが遅れたことが、事故拡大の原因であり、なぜ事実と異なる説明をしたのか日本触媒は説明する必要があると考えます。


 同社によると、アクリル酸は分子の結合に伴い「重合(じゅうごう)反応」で発熱するため、貯蔵タンクに入れる前の過程で重合禁止剤という安定剤を投入するなどして、60度以下の温度にしていた。
 60度以下になっているかのチェックは、従業員が定期的にタンクにある温度計を直接見ていたという。
この時点で、新たな問題がでています。
重合禁止剤をいつ投入して、温度計をいつチェックし、温度は何度であったのかという点ですね。

爆発時の温度は1000度以上


(2012年10月1日  読売新聞)
 化学メーカー「日本触媒」の姫路製造所(兵庫県姫路市)で化学薬品のアクリル酸貯蔵タンクが爆発、炎上し、消防隊員ら36人が死傷した事故で、1000度前後に耐えられる消防隊員の防火服が熱で溶けていたことがわかった。タンクから飛散した液体が、アクリル酸同士が結合し、発熱する「重合反応」を示すゲル状になっていたとの証言もあり、兵庫県警は、重合反応が連鎖的に起き、爆発時のアクリル酸は1000度以上に達していた可能性があるとみている。

1000度前後に耐えられる、消防隊員の防火服が熱で溶けていたとなっています。

素朴な疑問ですが、耐熱素材であったとしても、アクリル酸の腐食性の有無については触れられていません。1000度の根拠が、服が溶けたことであるならば、検証作業を見ないと、何とも言えないと管理人は考えます。


 捜査関係者らによると、爆発したタンクの西約20メートルにいて焼死した網干消防署の山本永浩・消防副士長(28)が着ていた防火服は跡形もなく溶けていたという。

 防火服は、500度程度の熱に耐えられる特殊なナイロン素材を3層重ねた構造で、一時的には1000度前後に耐えられるという。

防火服の耐熱性について報道されていますが、化学的な特性については触れていません。

白煙があがっていたとされるが、温度が不明


 日本触媒によると、爆発の約1時間半前、作業員が、タンクからアクリル酸の異常過熱を示す白煙が上がっているのを確認していた。

 タンク内はこの時点で、アクリル酸の沸点141度を大幅に超え、自然に発火する428度近くまで達していたとみられる。

白煙が上がっているのは、目視で確認しているようですね。

温度については、管制室でモニタリングしていると嘘をついていました。

(1)目視でいつチェックしたのか

(2)測定された温度は何度だったのか

(3)測定していたのはどの部分か

少なくとも上記3つについて、日本触媒は公表すべきであると管理人は考えます。

タンクの冷却がどのように行われていたのか

 また、現場にいた消防隊員が、爆発直前にタンクから飛散した液体が粘り気の強いゲル状になっていたことを目撃。県警は、何らかの原因で重合反応が急激に促進され、気化して超高温になったり、ゲル状になったりしたアクリル酸が爆発で飛散し、被害を拡大させたとみて、タンクの損傷や温度監視の状況を調べる。
▲日本触媒 事故原因と重合 2012/09/30

 大谷文章・北海道大触媒化学研究センター教授(触媒反応化学)の話 アクリル酸は別の有機化合物の酸化反応でつくるが、それは熱が出る反応。いわば燃えているようなもので、反応を制御して温度の上昇を防がなければならない。何らかのトラブルで制御ができなくなると反応は暴走し、温度の上昇が止められずに発火する。  
 今回の事故では、反応の暴走で生じた熱が中間貯蔵タンクに伝わって、火災や爆発につながったのではないか。またアクリル酸から合成樹脂をつくる反応である重合でも発熱する。この際にも暴走することがあり、事故にはこの過程が関わっている可能性も考えられる。

反応の制御と、温度上昇を防ぐ重要性が指摘されています。
タンクの冷却がどのように行われていたのかについて、情報公開がなされていないように思えます。

現状のポイント

(1)なぜ、タンク内のアクリル酸の温度上昇が発生した

(2)温度は、目視チェックのため、管制室で温度上昇に気付くのが遅れた

(3)なぜ冷却できなかったのか

(4)現場で人間が消火活動を行い、鎮火する可能性はあったのか

管理人は、特に、この(4)も、気になっています。

危険な物質を扱っているところに、人間が鎮火作業にあたっていますが、反応が暴走していたのなら、多少、消化活動を行ったところで、鎮火の見込みはどの程度のものであったのでしょうか。

日本触媒は、情報公開が不十分であり、情報公開を、さらに行うべきと思います。
特に、消防へどんな情報を提供したのか、明らかにする必要があるのではないでしょうか。

追記 脆性破壊の可能性について

オギョモ
(@ogyomo)

2012/10/02 21:48:35
from Echofon
たむごんさんの指摘(4)うちも同じ事考えてました。暴走反応を放水で止められる余地があったのか?逆に超高温のステンレスを急冷して脆性破壊を起こしたのではないのかとさえ。
RT @Portirland: 日本触媒 爆発事故原因の真相 説明に嘘
dlvr.it/2Fm6Bn
アクリル酸・アクリル酸が化学反応した物質が既に高温であったことが報道されています。

オギョモさんが指摘していますが、水をかけることで、ステンレスのタンクが壊れたのかも、検討する必要があると思います。管理人は、バルブや配管の接続部分も少し気になっています。

今後の現場検証に注目しましょう。

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