SPEEDI隠蔽 福島県のメール削除しか報告書で触れず

福島県が国会事故調査委員会の指摘に対して、検証結果を公表しました。SPEEDI隠蔽について、メールの削除の不備に触れています。紙媒体で、データがあった事などに触れておらず、誠実に記載する気がないのでしょうね。


福島県 事故前後の不備を認める



県、事故調の指摘追認 震災・原発の初動責任
(2012年10月10日 福島民友ニュース)

 県は9日、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故直後の県の初動対応について内部で検証した結果をまとめ、公表した。緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)予測結果の情報共有・情報管理の不備、入院患者ら要援護者に対する避難支援の想定不足など、政府や国会の事故調査委員会から指摘された初動対応の責任を追認。一方で、物資調達の不備や屋内退避指示根拠の不明確については国の責任と指摘した。
検証した結果のうち、福島県の責任とした部分と、国の責任であるとした部分に分かれています。

【福島県が責任と認めたもの】
SPEEDIの情報共有・情報管理の不備

・避難支援の想定不足など

・上記のような、初動対応の責任


【国の責任と指摘した部分】
・物資調達の不備

・屋内退避指示根拠の不明確

責任の所在避けているが


 庁内各部局や関係機関への聞き取り、事故調報告書の検証などから、〈1〉災害対応体制〈2〉情報連絡体制〈3〉住民の避難対策〈4〉物資の調達・供給―の4分野・56項目の課題をまとめた。県は「責任の所在を明確にすることが目的ではなく、今後の災害対策に反映させることが目的」とし、県の初動対応の検証としては、あまりにも具体性や客観性に乏しい内容。
上記、赤文字部分をご参照。

一見すると、責任を曖昧にしただけのように見えます。SPEEDIに絞って少し検証すると、誰が指示をしたのか、議会で答えている人物もいます。

報告書の内容については、下記のリンク先にあります。




上記の矢印の箇所について拡大。

福島県の部分だけ書き出します。
○災害対策本部内におけるSPEEDI予測計算結果の取扱い方針が不備、また、災害対策本部内の情報共有不足、情報管理の不備(県) 
○緊急時モニタリング資機材の備えが不十分(県)
福島県の不備を認めていますね。
具体的に、SPEEDIを削除した点について、報道では触れられています。

SPEEDI削除の不備を認める


 「災害対応体制」では「国、県、市町村相互の複合災害への備えが不十分だった」と根本的な要因を示し、県各部局の役割分担が不明確で業務重複などの混乱が生じたとした。SPEEDI問題は、予測結果を電子メールで受信したのに削除した対応の不備を認め、予測結果取り扱い方針がなく、災害対策本部内の指揮命令系統が不明確だったことを原因として挙げた。

改めて、SPEEDIの予測結果を電子メールで受信したのに削除したことを認めています。
原因について、指揮命令系統が不明確としていますが、これは嘘ですね。

削除の指示を幹部がしていたと、県議会で認めています。

加えて、電子メール以外にもFAXとUSBに保存データがあり、単なる言い訳と思います。


電子メールだけでなくFAXとUSBもある

USBメモリや印刷物として残っている 規則では回覧

 県の文書等管理規則では、重要と認められるメールや画像などは保存または印刷して関係者に回覧し、情報を共有するよう定められている。県の内部調査では21通がUSBメモリーにコピーされていたほか、印刷物として残されていたことを確認した。 
 しかし、震災対応で現場は混乱を極めていた。残りのメールが同様に保存、印刷されていたのかは不明だ。文書法務課は「規則が理解されていない部分があれば、見直しが必要」としている。

福島県がFAXを保安院に求めている

▲福島県のSPEEDIデータ消去 福島県の佐藤生活環境部長 認めている

 放射性物質の拡散を予測する国の「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の拡散試算図について、福島県が福島第1原発1号機で水素爆発のあった翌日の3月13日に入手したにもかかわらず、内容を公表しなかっことが分かった。19日の県議会全員協議会で佐藤節夫生活環境部長が明らかにした。 
 試算図は30枚で爆発前の12日午前3時から爆発後の13日午前8時まで1時間置きに1時間後の拡散状況を予測した。県は経済産業省原子力安全・保安院に提供を求め、13日午前10時37分にファクスで受け取ったが、公表しなかった。


佐藤知事の事故調での釈明

佐藤雄平 福島県知事 SPEEDI試算結果「ついつい見逃した」

 福島県の佐藤雄平知事は29日、国会の東京電力福島第1原発事故調査委員会に参考人として出席し、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算結果が県に届きながら、データが削除されたことについて「ついつい見逃してしまった」と釈明した。 
 聴取は福島市内で、公開で行われた。県は昨年3月12~16日の間、試算結果のメール86通を受け取りながら、職員がメールを削除していた。

何が問題か メール以外でも情報はある

上記をまとめますと、見て頂くと分かると思います。

(1)受信したメール ← 削除

(2)USBに受信したメール(1)の一部をコピー

(3)紙媒体に受信したメール(1)の一部をコピー

(4)保安院からFAX


この4つのSPEEDI情報が福島県に存在していた事が分かります。
触れているのは、(1)の受信したメールの削除した不備を認めたと報道されています。

あたかも、メールの削除でデータが失われたように報道されていますが、他の媒体で残っています。福島県の報告書は、情報があるのになぜ公開しなかったのか、その点について言及しておらず、SPEEDIに限ってみても、不十分な内容になっています。

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